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津田梅子
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第2回 2026.04.15

もし津田梅子がガウディでクロコダイル財布を作ったら

女子教育の先駆者が選ぶ「凛とした一品」

津田梅子

津田梅子

Tsuda Umeko(1864-1929)

女子教育の先駆者。津田塾大学の創設者。

新五千円札(2024年〜)

GAUDIE店長の南澤です。

「偉人サロン」第2回のお客様は、新五千円札の顔──津田梅子先生です。

わずか6歳で海を渡り、11年間のアメリカ留学を経て、帰国後は女子教育に生涯を捧げた方。津田塾大学の創設者であり、日本の女性が「自分の力で立つ」ことの大切さを、明治という時代に説き続けた先駆者です。

私は正直に申し上げると、女性に何かを語りかけるということが極端に苦手な性分です。しかし、津田先生のことを調べるうちに、この方のためにお作りしたい財布の姿が、はっきりと浮かんできたのです。

春の午後、蔵前の本店サロンに、一人の女性が現れました。

洋装に身を包み、背筋をすっと伸ばしたその方は、サロンの入口で一度立ち止まり、陳列されたクロコダイル革を静かに見渡されました。

「南澤さん、私は6歳の時にアメリカへ渡りました。何も分からないまま、ただ船に乗せられて。」

津田梅子先生──明治4年、岩倉使節団に同行した5人の女子留学生のうち最年少。11年間をアメリカで過ごし、英語はもちろん、数学、物理学、生物学にも秀でた才能を発揮された方です。

「帰国した時、日本の女性たちが自分の意思で何かを選ぶということを、ほとんど経験していないことに気づきました。だから今日は──自分の意思で、自分のための財布を選びに来たのです。」

先生はそうおっしゃって、まっすぐに私の目を見られました。その眼差しには、明治という時代を切り拓いてきた方だけが持つ、静かな強さがありました。

私はいつものように、クロコダイル革を広げてお見せしました。

「津田先生、クロコダイルは個体差の素材です。1つとして同じ柄のものはありません。」

先生は革に手を触れ、その表面をゆっくりと指先で辿られました。

「一つとして同じものがない……。私が教え子たちにいつも言っていたことと同じですね。『一人一人の人生の航路には、独りで立ち向かわなければならない、それぞれの困難と問題がある』と。」

私はハッとしました。クロコダイル革の個体差を、人生の個別性と重ねて捉えられたのは、教育者ならではの視点です。

「先生、仕上げについてお伺いしたいのですが。マット仕上げは落ち着いた風合いで、グレージング仕上げはメノウ石で磨き上げた光沢が特徴です。」

先生は両方の革を手に取り、光にかざして比べておられました。

「南澤さん、私はブリンマー大学で生物学を学びました。カエルの卵の研究で、モーガン教授との共著論文も書いたのですよ。」

「生物学を……ですか。」

「ええ。顕微鏡で細胞を観察する時、光の当て方一つで見え方がまったく変わるのです。この革も同じですね。光を受けて、内側から輝くような──グレージング仕上げの方が、私には馴染みます。」

グレージング仕上げ。先生の選択は、科学者としての審美眼に裏打ちされたものでした。

「それから、革の種類ですが──」

「最も美しいものを見せてください。華美なものではなく、品格のあるものを。」

私はポロソス──スモールクロコダイルの革を取り出しました。「革の宝石」とも称される、最高級のクロコダイルです。

先生は革を手に取り、しばらく黙って見つめておられました。

「これは……まるで、光を閉じ込めたようですね。」

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津田梅子の財布に近い製品をガウディ公式サイトでご覧いただけます

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先生との対話を重ねるうち、私の中に一つの確信が生まれました。

コンパクト財布──華Cameleon。素材はポロソスのグレージング仕上げ。色は──パールホワイト。

「先生、L字ファスナーのコンパクト財布をご提案したいのです。ガウディのレディースブランド『華Cameleon』のシリーズです。」

「コンパクト財布……ですか。」

「はい。先生は『環境より学ぶ意志があればいい』とおっしゃいました。大きさや形ではなく、中身で勝負する。必要なものを、凛とした佇まいの中にすべて収める。華Cameleonのコンパクト財布は、その精神にふさわしい形だと考えました。」

先生は小さく微笑まれました。

「そして色はパールホワイトです。」

「白……ですか。」

「はい。先生がブリンマー大学で学ばれた日々──あの白い校舎の中で、先生は科学者としての才能を開花させ、同時に日本の女子教育の未来を構想されました。パールホワイトは、ただの白ではありません。ポロソスのグレージング仕上げによって、真珠のような奥行きのある光沢が生まれます。凛としていて、しかし温かい。先生の生き方そのものです。」

先生の目が、少し潤んだように見えました。

「南澤さん、あなたは革の職人でありながら、人の心を読む方ですね。」

恐縮しながらも、私は続けました。

「金具にはローズゴールドを使わせていただきたいのです。華やかでありながら、主張しすぎない。先生が生涯をかけて育てた教え子たちのように、一人一人が静かに、しかし確かに輝く──そんなイメージです。」

「それから、内装にラベンダーのアクセントカラーを入れさせてください。先生のお名前の『梅』にちなんで──春を告げる花の色を、財布を開くたびに感じていただきたいのです。」

先生は静かに頷かれました。

「南澤さん、私が女子英学塾を作った時、学生はわずか10人でした。小さな教室で、小さく始めた。でも、その小ささの中に、すべての志を込めたのです。このコンパクト財布も、同じですね。」

完成した華Cameleonのコンパクト財布を、先生にお渡しした時のことは忘れられません。

先生は財布を手に取ると、まず掌の中でその重みを確かめるようにされました。次に、L字ファスナーをゆっくりと開き、内装のラベンダーカラーに目を留められました。

「……春の色ですね。」

「はい。梅の花が咲く頃の、あの淡い紫です。」

先生は財布を閉じ、パールホワイトの表面を光にかざされました。ポロソスのグレージング仕上げが、サロンの光を受けて、真珠のような柔らかな輝きを放っていました。

「南澤さん、私はアメリカで11年間を過ごしました。帰国した時、日本語がうまく話せなくなっていた。日本の習慣も分からなくなっていた。でも、一つだけ確かなことがありました。」

「何でしょうか。」

「日本の女性たちに、自分の力で選ぶ喜びを知ってほしい、ということです。着るものも、学ぶことも、生き方も──誰かに決めてもらうのではなく、自分で選ぶ。」

先生は財布をもう一度、手の中で包むようにされました。

「この財布は、私が自分の意思で選んだものです。色も、形も、素材も。南澤さんの提案を聞いた上で、最後に『これがいい』と決めたのは、私自身です。それが、何より嬉しいのです。」

私はその言葉を聞いて、胸が熱くなりました。

「クロコダイルは個体差の素材です」──私がいつもお伝えするこの言葉に、津田先生は新たな光を当ててくださいました。個体差とは、すなわち「自分で選ぶ」ということ。一人一人が異なる人生を歩むように、一つ一つ異なる革の中から、自分だけの一枚を選び取る。

ガウディは男性のお客様が多いお店です。正直に申し上げて、女性のお客様への接し方には、いまだに緊張することがあります。しかし津田先生との出会いを通じて、一つ確信したことがあります。

クロコダイル製品は、性別を問わず、「自分の人生を自分で切り拓く人」のためのものである、と。

津田先生、ありがとうございました。先生の「自主独立」の精神は、これからのガウディのモノづくりに、新しい風を吹き込んでくださいました。

津田梅子のためにオーダーメイドされたクロコダイル財布

津田梅子のための一品 ── 華Cameleon コンパクト財布

ポロソス(スモールクロコダイル) / グレージング仕上げ / パールホワイト

※ イメージ画像です。実際の製品とは異なります。

Product Specification

津田梅子の一品

華Cameleon コンパクト財布 パールホワイト
製品

華Cameleon コンパクト財布

ポロソス(スモールクロコダイル)

仕上げ

グレージング仕上げ

パールホワイト

特徴
  • ポロソス(グレージング仕上げ)
  • パールホワイト
  • ローズゴールドの金具
  • 内装にラベンダーのアクセントカラー(梅の花にちなんで)

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実物を見て、触れて、感じてください。

コラムで紹介した革や仕上げを、ぜひ実物でお確かめください。本店サロンでは、南澤店長が革を広げながら丁寧にご説明いたします。

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