渋沢栄一
Shibusawa Eiichi(1840-1931)
日本資本主義の父。約500の企業設立に関与。
新一万円札(2024年〜)
Prologue ── はじまり
GAUDIE店長の南澤です。
今回から始まるこのコラムシリーズでは、「もし歴史上の偉人がガウディの本店サロンを訪れたら」という想像の世界をお届けします。
記念すべき第1回のお客様は、新一万円札の顔──渋沢栄一翁です。
Act 1 ── 来店
ある秋の午後、蔵前の本店サロンに一人の紳士が現れました。
三つ揃いのスーツに身を包み、背筋をまっすぐに伸ばしたその方は、穏やかな笑みを浮かべながらこうおっしゃいました。
「南澤さん、私は約500の会社を作ってきましたが、自分のための財布を作ったことがないのです。」
渋沢栄一翁──日本資本主義の父と呼ばれ、みずほ銀行、東京ガス、東京証券取引所、帝国ホテルなど、日本の近代経済の礎を築いた方です。
Act 2 ── 対話
私はまず、いつものようにクロコダイル革を広げてお見せしました。
「渋沢翁、クロコダイルは個体差の素材です。1つとして同じ柄のものはありません。」
翁は革に触れながら、じっと腑柄を見つめておられました。
「なるほど。一つ一つが違う……。私が大切にしてきた『論語と算盤』の精神に通じるものがありますな。道徳と経済は別物ではない。個性と品格も、また然り。」
私は翁の言葉にハッとしました。クロコダイル革の個体差──それは単なる「違い」ではなく、一つ一つの革が持つ「個性」であり「品格」なのだと。
「翁、仕上げについてお聞きしたいのですが、光沢のあるグレージング仕上げと、落ち着いたマット仕上げ、どちらがお好みでしょうか。」
「私は華美なものは好みません。しかし、質素であることと品がないことは違う。使い込むほどに味わいが出る……そういうものが良いですな。」
マット仕上げ。翁の答えは明快でした。
Act 3 ── 提案
翁との対話を重ねるうち、私の中でイメージが固まってきました。
ラウンドファスナー長財布。素材はナイルクロコダイルのマット仕上げ。
そして色は──ジャパンブルー。
「翁、色は藍色をご提案したいのです。ガウディオリジナルの『ジャパンブルー』という色です。」
「ジャパンブルー……日本の色、ですか。」
「はい。日本の藍染めの伝統に着想を得た色です。翁が生涯をかけて築かれた『日本の近代経済』──その志を、日本の色で表現したいと考えました。」
翁は少し目を細めて、こうおっしゃいました。
「南澤さん、あなたは革の職人であると同時に、物語を紡ぐ人でもありますな。」
恐縮しながらも、私は続けました。
「内装には、翁が大切にされた論語の一節を刻印させていただきたいのです。『己欲立而立人、己欲達而達人』──自分が立ちたいと思ったら、まず人を立たせよ。」
Finale ── 完成
職人の比留間が仕立てた財布を、翁にお渡しした時のことは忘れられません。
翁は財布を手に取り、ゆっくりと革の表面を撫でながら、こうおっしゃいました。
「南澤さん、これは財布ではありませんな。これは──志の器です。」
ナイルクロコダイルのマット仕上げは、翁の手の中で静かに、しかし確かな存在感を放っていました。使い込むほどに自然な艶が生まれ、持ち主とともに「育つ」革。それはまさに、翁が生涯をかけて育てた日本の経済と同じように、時間とともに深みを増していくものです。
ジャパンブルーの深い藍色は、蔵前のサロンの光の中で、静かに輝いていました。
「クロコダイルは個体差の素材です」──私がいつもお客様にお伝えする言葉ですが、渋沢翁との出会いを通じて、その言葉の意味がまた一つ深くなりました。
一つとして同じ柄のないクロコダイル革。一人一人異なる人生を歩むお客様。その出会いの中から、世界で1つだけの製品が生まれる。
それが、ガウディの仕事です。
Completed ── 完成品

渋沢栄一のための一品 ── ラウンドファスナー長財布
ナイルクロコダイル / マット仕上げ / ジャパンブルー
※ イメージ画像です。実際の製品とは異なります。
Product Specification
渋沢栄一の一品

ラウンドファスナー長財布
ナイルクロコダイル
マット仕上げ
ジャパンブルー
- ─ ナイルクロコダイル(マット仕上げ)
- ─ ジャパンブルー(藍色)
- ─ 内装に論語の一節を刻印
Visit GAUDIE
実物を見て、触れて、感じてください。
コラムで紹介した革や仕上げを、ぜひ実物でお確かめください。本店サロンでは、南澤店長が革を広げながら丁寧にご説明いたします。